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◆第2番 斎王◆

受容

運命に委ねる

2番女教皇

※このカードは以前は「女教皇」と呼ばれておりましたが、時代の流れと共に「女」という言葉をあえて使わないことに致しました。日本において神に仕える巫女のことを斎王と呼んでいることから、このカードの名称を斎王とすることにします。

◆キーワード

《正位置》

瞑想、受容、知識の蓄積、見識、霊性、秘密、優美、優雅、計画的な金銭運用、資格取得、祖母、高齢の女性、陰、厳か

《逆位置》

冷静、無慈悲、孤高、閉鎖的、浅い知識、無計画な経済状態、資格取得の失敗、消極的、受動的

◆斎王の象徴

ヴェールで隠された二本の柱の間に女性聖職者が静かに座っています。背後の柱がヴェールで隠されているのは、世間から秘匿されているということを示しているのでしょう。

二本の柱はかつてエルサレム神殿の入り口にあったとされる「ヤキン(光)」と「ボアズ(闇)」の柱であり、彼女が光と闇の間に座して瞑想していることを示しています。 彼女は宗教的権威を示す三重冠を被っているため、正式な聖職者であるように思われます。しかもその冠はこのカードの枠を越えていることから、この女性の叡智があらゆる枠を超えたところからもたらされていることを示しています。

彼女は今まさに瞑想をして、エーテル領域に記された人類の叡智であるアカシック・レコードと繋がっているのでしょう。彼女は深い叡智と洞察力によってこの世のあらゆることを見通しているようです。

瞑想の中で、彼女は神仏や天使などと交信し、天界からのメッセージをただひたすら受け取っているのです。そしてその知識は書物に書き留められ、今や膨大なものとなっています。

彼女の顔は白く、ほとんど太陽の光を浴びていないようです。長年、瞑想修行に身を捧げてきたことを物語っており、彼女が清浄な存在であるという証なのでしょう。

彼女は青と赤の法衣をまとっています。これは聖母マリアの衣とキリストの衣を合わせたものであり、彼女が両者の代理としての役割を担う教皇であることを示しています。 彼女の座る椅子の横には、卵が大事そうに置かれています。これは彼女が未来に産み出すことになる神秘的な可能性を示唆しています。

胸には三つの十字の柄が施された襷がかけられています。この十字は彼女がキリスト教に関する聖職者であることを示しながらも、三つの十字を重ねた黄道十二宮をも象徴しており、彼女が宇宙的規模で影響を与える教皇であることを示しています。

また、彼女の法衣の胸の部分にはベルトのような装飾がなされていますが、この装飾は見方を変えれば男根のようにも見えます。これは彼女が人間の男性の子ではなく、父なる神の精を得て新たな命を宿していることを示しています。彼女は神の子を宿した聖母でもあるのです。

歴史的に女性の神官は存在しないことになっておりますが、このカードの人物は女教皇ヨハンナがモデルとされています。ヨハンナは架空の人物とされることもありますが、伝説としては男性に扮装し、9世紀にローマ教皇として在位した女性とされています。15世紀の学者、バルトロメオ・プラティナの書物には、女教皇ヨハンナについて以下のような内容が記されていました。

「教皇ヨハネス8世はマインツに生まれ、男装して教皇の座についた。彼女は学業において目覚ましい成果を上げ、ローマでは彼女と同等の者はほとんどおらず、まして聖書の知識で彼女を超える者はほとんどいなかった。学術的で独創的な著作と論争術によって、彼女は大きな尊敬と権威を獲得し、次の教皇に選ばれるべきは彼女だということは衆目の一致した見解であった。しかし、サン・ジョバンニ・イン・ラテラノ大聖堂からコロッセオ劇場に向かう途中、彼女を陣痛が襲い、彼女はそこで死亡した」

バルトロメオ・プラティナ

この真偽は不明とされていますが、歴代の法王像の中で、レオ4世とベネティクト3世の間に誰かの像が抜けているのではないかと噂されています。 女教皇のモデルがこの伝説のヨハンナであるとすれば、彼女の横に置かれた卵は瞑想によって多くの叡智を授かり、神聖な何か(神の子キリスト)を生み出す可能性を示唆しているのかもしれません。キリストとは、人類の奥に隠された聖なる魂(Divine Soul)のことです。彼女は聖なる魂を心の奥に宿した存在なのでしょう。

女教皇ヨハンナ出産

◆ペアカード

第5番 法皇:女性指導者に対する男性の指導者、老父婦、顕教と密教

◆第3番 女帝◆

理解

構想を練る

3番女帝

◆キーワード

《正位置》

アイデア、閃き、着想、計画、才覚、工面、意思の力、ビジョン、想像力、確信、母、中年の女性

《逆位置》

迷い、誤解、無計画、意思が弱い、曖昧なビジョン、当てずっぽう、勘違い、不安、先が見えない、力不足

◆女帝の象徴

王冠を戴く女性が玉座の上に深く腰掛けています。玉座の後ろの二本の柱は斎王のカードの場合と同じようにヴェールで覆われていますが、そのヴェールは天使の羽のようにも見えます。彼女は地上の女王として君臨していますが、その正体は天使なのかもしれません。

また、ヴェールで隠された柱の一部がわずかに見えますが、その柱は黄金に輝き、柱の土台には仏の蓮台のような花の台座が施されています。これは偉大なスピリットが彼女を守護していることを示しています。

彼女が座す場所は、草が生えているので屋外かと思えば、タイルの敷き詰められた屋内のようにも描かれています。さらにそれだけでなく床面が歪んでいたりします。これは彼女の存在が地上だけでなく、次元を超えた存在であり、あらゆる方面に権力を有していることを示しています。

彼女の威厳に満ちたその姿は、これから実行する計画が栄光に満ちていることを確信しているからなのでしょう。

彼女の瞳は緑色に輝いており、彼女が類稀なる洞察力の持ち主であることを示しています。それは彼女が異世界からのヴィジョンを読み取る能力があるということなのです。彼女が左側を見ているのは、未来へ向かってそのヴィジョンをどのようにして実現化させていくかを計画している最中だからなのです。

右手には飛翔する鷲の紋章をあしらった盾を持っています。鷲は天からの使者を表し、彼女は天の使者の意向を実現化するために思案しています。左手には地球の支配権を示す王笏を持っています。彼女のヴィジョンが地上の未来を左右することになることを示しています。

しかし、彼女は王笏を振り上げていないことから、その権力を直接行使することはなく、彼女のヴィジョンを具現化するのは彼女の伴侶である皇帝の役割であるようです。 また、王笏を持つ手には愚者と同じ青葉が握られており、彼女のお腹の中に新しい生命が宿っていることを示唆しています。

彼女の胸には窓のような装飾が施されており、四角の中に三角形の模様が施されています。これは彼女のハートが至高の三角へと繋がるポータル(入り口)となっていることを暗示しています。

さらに彼女の足元には白い蛇のようなものが見えます。蛇は大地の智慧やエネルギーの象徴であり、彼女の神聖な計画は大地の力と繋がることによって成し遂げられていくのです。

彼女のモデルは諸説ありますが、戴冠後の聖母、大地母神、エジプトの女神イシスなどであろうと推察されます。彼女は古代から連綿と受け継がれている大地母神の象徴であり、聖母(愛)にして女帝(支配)という二面性を有しています。二面性を有しているがゆえに、彼女の主な役割は「思考する」ことであり、彼女の思考よってこの世の未来は定まっていくのだということをこのカードは示しています。

戴冠の聖母マリア

◆ペアカード

第4番 皇帝:女性権力者に対する男性権力者、夫婦、社会的パートナー

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