「三法印」の諸行無常って何?

仏教の根本原理に三法印というのがあります。三法印は、諸行無常、諸法無我、涅槃寂静と言われています。これに一切皆苦を加えたものは四法印と呼ばれています。この三法印はこの世の仕組みの原理であり、真理を学ぶ上で必須なのですが、言葉上の説明だけではなかなか理解できません。そこで今回の八乙女小噺では周波数を視覚化できる「クラドニ図形」を使って科学的観点からこの三法印の諸行無常について説明してみたいと思います。

今回の動画の内容
  • 三法印の諸行無常の意味
  • 音から世界を読み解く
  • 物質世界は無常

三法印の意味

仏教の根本原理として三法印というものがあります。これは是非知っておいて頂きたい原理なのですが、三法印とは、諸行無常、諸法無我、涅槃寂静とされています

釣鐘イメージ

諸行無常は、平家物語の「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」という冒頭文で有名です。諸行無常というのは、世界のあらゆる事物は常に変化し続けるもので、永遠ということはないというような意味です。平家物語は、栄華を極めた平氏ですらいつかは衰退するということを道理として冒頭で述べているというところに物語の深みがあります。私たちは頭の中で考えていると「物事はこういうものだ」とか「常識はこうであるに違いない」と決めつけてしまいますが、その頭で考えついたことが永遠に続くということはありません。

三年前には当たり前だと思っていたことがもう当たり前でない世の中になったりします。頭の中では変わらない概念を持ちますが、世の中は刻々と変わっており、ずっと同じ状況が続くというのはないのです。

しかし私たちの意識はそうではありません。この諸行無常であるということを常に客観視する必要はあります。誰もが経験する分かりやすい例えを使うと、親御さんというのはいつまでたっても子供は子供という意識のままです。自分の子がもういい歳のおじさん、おばさんになっていても子供扱いしたりします。そうすると子供の方は「もう私は大人ですよ」と思いますよね。しかし人の意識というのは自分の意識の方を重視して現実の変化に追いついていないことが多くあります。

廃墟

確かに物質的な状態を見ても、物はいずれ壊れていき、荒廃していきます。人がいなくなって手入れしなくなった廃墟などを見ていても無常だと感じます。ただ、世の中は無常であると言われても、目に見える世界の中では無常であるとは思えません。しかし万物は実際には振動しており、固有の周波数によって物を形成しているとするとどうでしょう。無常ということが理解できるのではないでしょうか。

音から世界を読み解く

そこで今回は音を目に見える形として表現することができるクラドニ図形という装置を使って、諸行無常を実感して頂きたいと思います。

クラドニ計

クラドニ図形とは、板をスピーカーなどで振動させたときに板の上にできる定常波を可視化したもので、様々な模様が現れる現象のことを言います。エルンスト・クラドニ(独1756~1827)によって発見されたので、クラドニ図形と呼ばれています。

可視化は板の上に軽い粉末を撒くことによって行われます。板の振動する部分の粉末が飛ばされ、振動しない部分に集まるため、周波数の形が眼に見えるようになります。

800Hz

物質世界は無常

人間の知覚できる音というのは、20Hzから20000Hzとされていますが、最も感覚として感じられるのは、50Hzから4000Hzくらいと言われています。

クラドニ図形は大体3500Hzあたりから秩序ある美しい形を形成しております。それ以下の周波数では形は曖昧です。そして一度クラドニ図形を形成した周波数帯を変える時に、砂を元に戻して均等にばら撒くには200Hz以下まで下げると砂は混沌状態となりバラバラになりました。

つまり振動が荒過ぎて形を形成するというよりは、混沌のような状態となるのです。つまり低い波動領域というのは無秩序な混沌であり、バラバラにするような振動であることがわかります。

私たちの肉体が知覚できる音というのは、どちらかというと秩序を持った周波数というよりは振動が荒い周波数と言えます。

目に見える世界というのは、常に変化して同じ形を形成することはないのです。これは熱力学の世界では、エントロピーの増大の法則としても知られています。エントロピーの増大とは、物質の状態の乱雑さの程度のことを言いますが、放っておけば物質はバラバラになり何の法則性もなくなってしまうのです。

つまり私たちが知覚し得るこの世は諸行無常であるということになります。確かに肉体は放っておくと下垂し、体は若い時のような容姿を保つことはできません。永遠に若々しく美しいということはこの世ではあり得ないのです。物質世界は放っておくと必ず壊れてバラバラになっていくという世界なのです。

ところが、高い周波数では、例えば3500Hz以上はとても美しい曼陀羅のようです。つまり高周波の音には秩序が形成されるということになります。この秩序のある世界を仏の世界として知覚していた人たちがいます。それが瞑想によって高次元と繋がった人たちです。秩序ある音の世界を曼陀羅として表現していたのでしょう。

チベットでは、砂曼陀羅という修行があります。私たちが日常では知覚できない高次元の仏の世界を砂によって形作ります。しかし砂によって曼荼羅を作り上げた後は、その砂曼荼羅を壊し、川などに流します。それは諸行無常の教えの実践とされています。

砂曼荼羅

このように三法印の諸行無常というのは、世界が音の振動でできており、人間が知覚できる世界は無秩序な壊れゆく混沌の世界であるという真理を伝えているということになります。

仏教を一つの宗教としてではなく、科学的な真理として捉えていくと人生に役立つ知識となります。 それでは次回は三法印の諸法無我について説明をしたいと思います。

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